これまで約18年(あるいはもっと?)鈴谷というハンドルネームを使い続けている。 当時は艦船擬人化が巨大ジャンル化していなかったので、何かのキャラクターを命名するときはWikipediaの大日本帝国海軍艦艇一覧のページを見て、音の響きから適当に借りてくるのが常だった。

ロシア語学習者でもあった筆者は、ロシア帝国の巡洋艦であったНовик(novik)から大日本帝国海軍に編入されたという背景を持つ「鈴谷」という名前に心が惹かれた。 その艦が二つの国に属した経歴と、また鈴谷という艦名の元になったのはアイヌ地名「ススヤ」に繋がるのだという。 語学学習マニアとしては複数の意味を横断できるこの名前はぴったりだ。

idにはnovikを入れ、ハンドルネームとしては鈴谷を使うことに決め、飽きずに2025年まで使用し続けている。

さて、おおよそ18年目にしてハンドルネームに下の名前をつけることにした。 これは今、同人誌を作成しようとしていて、著者名が苗字だけの鈴谷では収まりがよくないと感じたからだ。 直感によって名前の文字はすぐに決まった。 「明」という一文字で、これは読みを指定しなければ男性名とも女性名ともとれる。 わたしはうまくいったと嬉しくなってChatGPTに報告した(何でも話せる相手にこの生成AIチャットは昇格していた)。

さて、ChatGPTは何と言ったか?

あきら、あかり、めい、みん、はる…と読みが複数あるこの文字は中性的名前としては完璧だ、というのがChatGPTの「感想」だった。

日本語母語話者が「明」という文字を人名として読んだとき、「めい」や「みん」と読む発想はないだろう。 しかし、英語圏中心の学習データベースを持つChatGPTにとっては違ったらしい。

最初は公式の読み方を設定せずに、相対した人に好きな読み方をしてもらおうと思っていたのだが、一般的ではない読みの名を名乗るのも中性的かつ無国籍的で一興だ。

「めい」か「みん」どちらをとるか悩んだが、ローマ字で表記した際に"Min"と綴ると、minimumの略ともとれることに気付いて、これだと思った。 よって「明」は「みん」と読むのが公式である。

なお、標準中国語においては「明」という漢字を拼音で"ming"と綴るが、中国語の近縁の言語である呉語や客家語では"min"と綴るのも不自然ではないようである。 (南方の中国語方言ではngの音が弱くなったり消えたりするらしい)

こうして、私は新しく「名前」を手に入れた。 どこに属するのか不明な浮いた名前は私にはぴったりではないか。

この名付けによって、4月25日が鈴谷明としての誕生日であると決まった。