今回はなんとなく書いておきたかった語学学習について。 といっても、筆者には一つとしてものにした自然言語はなく、ただ趣味でダラダラと語学学習を続けているだけの人間なのであまり参考にはならないと思う。
基本的な考えとしては、初級段階を卒業したらさっさと実践してしまえ、である。 コミュニケーションを取るのが目的ならチャットでもなんでもいいから片言でどんどん話し、文献を読むのが目的なら読めなくても読んでいくしかない、というのが基本方針だ。
しかし問題はその前の初級の基礎文法だ。 以前は1ページずつ丹念に文法事項を覚えながら進めていた。 これは確かに頭に叩き込むという点では勉強になるけれども、負荷が重すぎてちょっとしたことで学習習慣が途絶えてしまうこととなる。……というか、途中挫折で何度も断絶期間があるのが筆者の語学学習歴だ。 それで考えついた方法が、真面目に語学書をやらず遊びとして語学をやることだ。
なぜなら筆者の語学学習は、単位を取るわけでも試験のスコアが必要なわけでもその言語がないと生活できないわけでもない。 ただ楽しみのために母語以外の言語で読むことができたらいいな、というくらいの軽い気持ちの学習である。 完璧に文法を覚えて語彙を増やす、というのは結果としてはそうなればいいが、あまり本気になりすぎると完璧主義がいきすぎて逆に挫折する。
遊びのように語学書をやるにはどうすればいいか。 方法は次のようになる。
文字と発音を覚える
ここは、ある程度は真面目に。
筆者の場合、学習方法が語学書に偏っている以上、文字は覚えなければどうにもならない。 Youtubeなどの音声で学習するにしても覚書のメモを取るには文字も必要だろう。 なので、文字(とそれが表す音声との対応)に関しては集中的にやる必要がある。
もっとも遊びでやるならどの言語をやるのかも自由なのだから、すでに覚えている文字を使用する言語を選ぶという手もある。 筆者は古典ギリシア語をやりたいという気持ちが強かったので、ギリシア文字を覚えるところから始めたが。
例文と戯れる
文字と音の対応を覚えたら、いきなり教本の好きなところから選んだ例文で遊ぶ。
たいていの現代語の教科書の第1課はあいさつと自己紹介から始まるが、これをやらない。 なぜなら筆者はあいさつをすることは好きではないし、自己紹介をするような場面は苦手だからだ。 代わりに原点から引用した例文が多く載っている教材を眺める。 そして気に入った例文を読み上げ、書き写す。
文法構造はわからなくてもよい。 単語の顔見知りと語感のリズムが得られればいいな、くらいの気持ちだ。 何度も読んでいると発音することに慣れてくるし、書き写しているうちに最初に叩き込んだ文字の書き方が完全に身についてくる。
原典から引用した例文が採用されている教材はなかなか存在しないので、対訳本とか読本の教材を手に入れておくのが良いように思う。
文法の説明を読む
例文を書き写しながら文法事項の説明を読んでいく。 遊びなので、いちいち文法表を暗記はしないし、練習問題も全ては解かない。 覚えるのではなく、一冊の内容をなんとなく把握するのを目的に読む。 読んでいるうちに顔見知りの例文の構造がわかってくる。
ふたたび例文と戯れる
例文の構造がわかってきたら、教科書の例文の語彙を色々入れ替えて遊びの作文もやってみる。 教科書の文を自分に当てはまるように改変してもいいし、誰かになりきって作文してもいいし、あるいは突拍子も無い文を作ってもいい。 例えば、「猫は帽子の中にいます」とか。
幸運なことに最近は生成AIチャットを使って、この「適当作文」で作った文が正しいかどうかを簡単に確認できるようになった。 ヨーロッパの言語ならかなりの精度で添削してくれる、はず。
そのうち練習問題もやりたくなる
そんなふうに言葉で遊んでいるうちに、普通の練習問題もやってもいいのではないかという気持ちになってくる。
そう思えたなら、練習問題も解けばいい。 遊びなのだから間違えても気楽に。覚えようとしすぎずに。 どうせ何度も触れてたら重要なことはそのうち覚える(はず)だ。
そしてやっぱり原書を読む
これが近ごろ語学の教科書をやる時に方針にしている遊びとしての語学学習だ。 ある程度文法事項が身についてきたらこれに並行して原書を眺めたり読んだりもしている。
まだ読めない言語で読書できるようになるには読めない言語で読書するしかないので、ここは拙さを我慢して読み進めるほかない。
まだ読めない言語で本を読む方法についても書き残しておきたいが、今回の記事がそれなりの長さになったのでまた今度別の記事で記そうと思う。それではまた。